このページでは主に畳表(畳のゴザ)についての見分け方を書きます。
まず一般的な良い畳表の特徴は畳に施工する前の材料の段階だと分かりやすいです。 例えば、下は普及品と高級品の画像です。どこが違うでしょうか。
左が普及品。右が高級品です。 違いを画像を見ながら説明しますと…
| | 違い | どのように製品に影響するか | | 1. イ草の長さ | 普及品短く、高級品長い。 | 普及品は生育時期の異なったイ草(太さ、色、硬さがまちまち)が混在、かつ、短いイ草使用のため、根元の白い部分が畳にも反映され、端部分が特に白っぽくなり見栄えで劣る。弱いイ草も混じるので耐久性に欠ける。高級品は粒のそろった長いイ草の真ん中を使用するので、見栄え、耐久性に優れる。 | | 2. イ草の本数 | 普及品少なく、高級品多い。 | 普及品は薄く軽く、高級品が厚みと目方がある製品になる。 見栄え、手触り、耐久性に関係。 | | 3. イ草の質 | 普及品草質イロイロ、高級品充実したイ草使用。 | 一般にはイ草の表皮が厚く芯部分の実が詰まっているのが高級品。 耐久性に関係。 |
その他にも、縦糸(畳の縦方向に畳の目一個につき2本~4本の糸が通っている)が綿糸か麻糸か、などと いう点もあります。一般には綿糸使用が普及品で麻糸使用のものが上級品です。しかし普及品クラスのイ草 を麻糸で仕上げたものもあるので、目安程度に頭に入れておいたほうが良いでしょう。
それで、ざっくりいうと主に上記表の3つ。 要約すると、長い充実したイ草をたっぷり使用してるかどうかというのがポイントになります。
…というのは一般的な常識的なことなのですが、実は 逆の事実もいろいろあったりします。
例えば、イ草の長さ。長く伸びたイ草で織った畳表が綺麗なのは事実ですが、実は、イ草は伸びれば伸びる ほど実が入らず柔らかくなってしまいます。よって長さを追求したイ草は畳表の耐久性に影響が出ます。 実際、高級品として仕入れた畳表がとても貧弱だったという経験があります(泣く泣くランクを繰り下げて使用 しました)。経験から、長さと充実度は相反するのでは?という疑問がありましたが、生産者さんとの話で、 実際そういう傾向はあるとのことでした。
では、とにかく硬くてパンパンに実の入ったイ草の品が良いのかというと、それもまた一概には言えないという ことが最近分かってきました。10年かけていろいろな品物を使用して年数経過たものを観察して分かりかけ てきたのですが、より丈夫で、趣のあるきれいな明るい褪色をする畳表は必ずしも実の充実したイ草の ものではなくて、草そのものの柔軟性(産地の人は「ねばり」という)にあるようです。新品時、しっかりしている ように見えた品が一年後思ったような品ではなかったり、逆に新品時に貧弱に見えた品が、五年後すばらしい 風合いに変わってたりという経験をしました。
イ草の本数に関しても、本数を増やして目方を付けると、摩擦に対する逃げがなくなるので、草質によっては かえって磨耗が進むということもわかってきました。
初めに画像でしめした、長い充実したイ草をたくさん使ったものが良い畳表というのはある程度正しいのですが、ある点を越えると良い品から外れるという点。そしてなにより、ねばり(柔軟性)のあるイ草の畳表が良い品であると私は考えます。
我田引水になりますが、現在当店で使用する素材は上記のポイントにかなっている品を使用しています。
そんな品を中心にしなぞろえしました。
特に、地草の備後表や幻の品種「せとなみ」イ草を使用した豊本氏の「昔風畳表」は素朴ながら、使えば使う ほどに風合いを増すという不思議な特徴を備えた品となっています。実際、豊本氏は長さをある程度まで抑えて 質を重視したイ草栽培をしています。(ちなみに、長さを求めない栽培は同時に収量も落ちるので、生産者にとってはリスクにもなります) 結局のところ、良い畳表というのは、一般的な考え方はあるものの、 「その品物による」ということでしょうか…。仕入れをする人間のの目利きがとても重要になってきます。
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